令和7年「転職者実態調査」から見る中途採用
厚生労働省から、令和7年「転職者実態調査」の結果が公表されました。5年ぶりの調査で、常用労働者5人以上を雇用する事業所約1万7千件と、そこで働く転職者約1万3千人を対象に、令和7年10月1日現在の状況を調べたものです。
中途採用を考えている事業所様にとって参考になる数字が多く含まれていますので、いくつかご紹介します。
※この調査でいう「転職者」は、雇用期間の定めがない、または1年以上の雇用期間を定めて雇用されるフルタイム労働者に限られます。短時間のパート・アルバイトは対象に含まれていません
今後3年間で中途採用を予定する事業所は63.6%
今後3年間に「転職者を採用する予定がある」と回答した事業所は63.6%でした。前回(令和2年)調査の53.3%から、10ポイント以上増えています。
ただし、前回調査は令和2年10月時点で、コロナ禍で採用計画が大きく落ち込んでいた時期の数字のため、そのまま右肩上がりになっていると捉えることはできませんが、中途採用に取り組む事業所の裾野が広がってきていることがうかがえます。
また、転職者を採用する予定がある事業所に新卒者との優先順を尋ねた結果は、「転職者を優先して採用したい」が40.0%、「新規学卒者を優先して採用したい」が9.8%でした。
最も多かったのは「どちらとも言えない」の50.2%ですが、新卒者優先より転職者優先が上回っている点は注目です。
辞めた理由の上位3つは、ほぼ横並び
次に、転職者側のデータを見ていきます。
直前の勤め先を離職した理由は「自己都合」が81.3%と大半を占めます。その自己都合の中身(3つまでの複数回答)を見ると、「賃金が低かったから」が25.5%で最多でした。
ただ、2位の「会社の将来に不安を感じたから」が25.2%、3位の「満足のいく仕事内容でなかったから」が24.7%と続き、上位3つの差はごくわずかです。
年齢階級別に見ると、もう少し具体的な傾向が読み取れます。35〜39歳では「会社の将来に不安を感じたから」が32.2%、40〜44歳では33.9%と、いずれも他の理由を上回って最多でした。
中堅層は、目先の給与よりも「この会社にいて大丈夫か」と感じ転職を希望しているといえるかもしれません。
転職先を「選んだ理由」の1位は、賃金以外
先ほど、直前の勤め先を離職した理由(自己都合)のうち、「賃金が低かったから」が25.5%とお伝えしましたが、同じ転職者に「現在の勤め先を選んだ理由」(3つまでの複数回答)を尋ねると、1位は「仕事の内容・職種に満足がいくから」で40.2%、2位が「自分の技能・能力が活かせるから」で38.4%でした。「賃金が高いから」は18.8%で4番目です。

辞めるときは賃金を理由に挙げた方が多いが、次の会社を選ぶときは賃金より「仕事内容」と「能力が活かせるか」を見ているという結果です。
この「辞める理由」と「選ぶ理由」のズレが、今回の調査で見るべきポイントだと考えています。
もっとも、「賃金が高いから」は前回調査の15.1%から18.8%へ上昇しており、順位も6番目から4番目に上がっています。賃金の重要度そのものは、やはり高まっているとも言えます。
転職しても、賃金の満足度は低い
このズレを考えるうえで参考になるのが、満足度D.I.です。
満足度D.I.とは、「満足」「やや満足」と答えた割合から「不満」「やや不満」と答えた割合を差し引いた数値で、プラスが大きいほど満足度が高いことを示します。
転職者の「職業生活全体」の満足度D.I.は44.0ポイントでした。転職後の満足度は、全体としては高い水準です。
しかし項目別に見ると、大きな差がみられます。

「通勤の便」58.0ポイント、「仕事内容・職種」57.8ポイントが上位に並ぶ一方、「賃金」は22.2ポイントと、10項目中で最も低い結果でした。「職業生活全体」の44.0ポイントと比べても、半分程度にとどまっています。
この調査は、賃金を理由に辞めた方だけを取り出して転職後の満足度を集計しているわけないのですが、転職者全体で見たときに、賃金は他の項目よりも満足が得られにくい条件になっている、ということは言えそうです。
中途採用を考えるうえでのポイント
これらの結果から、中途採用を募集する際のポイントが見えてきます。
1. 賃金以外の魅力を必ず添える
賃金の高さは応募動機として4番目にとどまり、しかも満足度D.I.が最も低い項目でもあります。
賃金水準の改善はもちろん大切ですが、それだけで応募や定着につなげるのは難しい面がありそうです。賃金以外にどのような魅力を示せるかが重要になってきます。
2. 「仕事内容」と「活かせる能力」を具体的に伝える
転職先を選んだ理由として多く挙がったのは、この2点です。
どんな業務を任せるのか、これまでの経験のどこを評価しているのか。ここを具体的に言語化できることが、求職者へのアピールにつながると考えられます。
3. 中堅層には「会社の将来」を伝える
35〜44歳が辞める理由として最も多く挙がったのは、賃金ではなく将来への不安でした。
事業計画や今後の方向性を社内に伝えることは、採用だけでなく定着の面でも効果が期待できます。
また、転職活動の方法を見ると「縁故(知人、友人等)」が22.2%となっています。前回調査の26.8%からは低下していますが、依然として2割を超えており、既存の従業員が知人に紹介したくなる職場であるかどうかは、採用面でも一定の意味を持つと考えられます。
参考
厚生労働省HP
令和7年転職者実態調査の概況|厚生労働省
今回は厚生労働省の令和7年転職者実態調査から、中途採用のポイントをみてきました。
中途採用についての進め方や求人票の見直し、採用後の労務管理など、お困りのことがあれば、お手伝いさせていただきますので、ぜひお気軽にお問合せください。
リムコンサルティングスタッフ

大阪府和泉市を拠点として、堺市や大阪市を中心に人事・経営のコンサルティングを行っています。
社会保険手続きなどの実務支援から、組織づくり、賃金制度・人事制度設計などのコンサルティングまで、幅広く企業の経営をサポートしています。
代表 中小企業診断士・特定社会保険労務士 丸山 理一


