「令和7年度パートタイマーに関する実態調査」から見る「同一労働同一賃金」
前回、令和8年10月1日に施行される「同一労働同一賃金」に関する改正についてご紹介しました。
前回の記事はこちら→同一労働同一賃金ガイドライン等が改正(令和8年10月)
そこで、今回は、先月公表された「令和7年度 パートタイマーに関する実態調査」(東京都産業労働局実施)の一部を抜粋してご紹介します。
この調査は、「令和3年度に実施した前回調査との経年比較を行うとともに、パートタイム・有期雇用労働法並びに同一労働同一賃金ガイドライン等の法制度及び社会情勢の変化が、パートタイマーの雇用、処遇の改善等にどのような影響を及ぼしているかについて把握し、労働行政上の基礎資料とすること」を目的としています。
なお、調査対象は、
- 都内の常用雇用者数30人以上の3,207事業所
- 調査対象事業所に勤務するパートタイマー2,000人
です。
令和7年度 パートタイマーに関する実態調査」(概要版)より抜粋
4 パートタイマーの賃金
(4.2)時間給額(令和7年10月1日時点)【従業員調査】
給与形態が「時間給」であると回答したパートタイマー(n=513)に時間給額を尋ねると、「1,227 円以上1,400 円未満」が51.7%と半数を占めた。平均値は1,421円であり、前回調査(1,262 円)から159円増加した。なお、本調査の基準日は令和7年10月1日であるが、 東京都最低賃金は、令和3年度(2021年10月1日)の1,041円から令和7年度(2025年10 月3日)には1,226円へと引き上げられ、185円増加した。

(4.4)賞与【従業員調査】
回答者(n=651)に賞与の有無を尋ねると、「ある」が42.1%、「ない」が50.1%であった。 前回調査と比較して、ほぼ同等の値であった。 賞与が「ある」と回答したパートタイマー(n=274)に、今年の夏季賞与額を尋ねると、5 万円未満は47.4%であった。平均値は7.28万円であり、前回調査(5.97万円)よりも高く なった。

(4.5)昇給【従業員調査】
回答者(n=651)に昇給の有無を尋ねると、「ある」が41.2%、「ない」が40.9%であった。 前回調査(32.4%)と比較すると、「ある」は8.8ポイント高かった。 さらに、昇給が「ある」と回答したパートタイマー(n=268)に、今年の昇給額(時給換算) を尋ねると、「40円以上60円未満」が22.8%、「20円未満」が17.9%、「20円以上40円未 満」、「100 円以上」がそれぞれ12.7%であった。平均値は49.4円であり、前回調査(28.9円) から20.5円上がった。

5 雇用形態による待遇差の実態
(5.1)正社員とパートタイマーの処遇の違い【事業所調査】
パートタイマーを雇用している事業所(n=591)に、正社員とパートタイマーの処遇の違い を明らかにするために各種の制度や手当の有無を尋ねると、下図のとおりとなった。「定期的な昇給制度」、「通勤手当」、「慶弔休暇」及び「病気休職」は、「正社員・パートともにある」が半数を超えているが、「退職金」、「役職手当」、「家族手当・扶養手当」及び「住宅手当」は、「正社員のみある」が半数を超えた。

正社員とパートタイマーの双方に制度や手当が「ある」と回答した事業所に、その制度の 内容に差があるかを尋ねると、下図のとおりとなった。「定期的な昇給制度」と「退職金」については、正社員とパートタイマーとの間で制度・支給の内容に差が「ある」が高かった。一方で、各種の手当(「退職金」を除く)や休暇・休職制度については、正社員とパートタイマーとの間で制度・支給の内容に差が「ない」が高かった。

6 処遇改善に向けた動き
(6.3)不合理な待遇差をなくすための具体的な取り組み【事業所調査】
正社員とパートタイマーとの間の不合理な待遇差をなくすための取り組みを「実施した」 又は「実施する予定である」事業所(n=208)に、実施済み又は実施予定の具体的な取り組みを尋ねると、「実施した」と「実施予定」の合計が最も高いのは「基本給の引き上げ・算定方法の変更」(56.3%)であり、次いで、「正社員定年後の継続雇用パートタイマーの導入」 (46.2%)、「正社員への転換制度の導入・見直し」(41.8%)、「休暇制度の見直し」(41.3%) となった。

7 パートタイマーと無期転換ルール
(7.1)無期転換ルールの運用【事業所調査】
パートタイマーを雇用している事業所(n=591)に、現在雇用しているパートタイマーに対して無期転換ルールをどのように運用しているか(複数回答)を尋ねると、「有期労働契約で雇用し、通算5年を超える者から申込みがあれば無期労働契約に転換している」が64.8%となった。 一方、「有期労働契約での雇用は行わず、全て無期労働契約により雇用している」が14.7%となった。 前回調査と比較すると、「有期労働契約で雇用し、通算5年を超える者から申込みがあれば無 期労働契約に転換している」が4.5ポイント高くなった。

12 ハラスメントに関する相談窓口
(12.1)ハラスメント相談窓口の整備状況【事業所調査】
パートタイマーを雇用している事業所(n=591)に、ハラスメントに関する相談窓口等を整備しているかを尋ねると、すべての項目で「整備済」が8割を超えており、「パワハラの相談窓口」で90.7%、「セクハラの相談窓口」で90.2%であった。

(12.2)カスタマー・ハラスメント相談窓口の整備状況(東京都カスタマー・ハラスメント防止条例)【事業所調査】
パートタイマーを雇用している事業所(n=591)に、カスハラを受けた従業員向けの相談窓 口等を整備しているかを尋ねると、「整備済」が67.2%、「整備していない」が31.6%であった。

今回は、東京都産業労働局「令和7年度パートタイマーに関する実態調査」(概要版)から、今後、同一労働同一賃金へ向けた取り組みを行うにあたり、参考となる主な内容をピックアップしてご紹介いたしました。
詳しい調査結果については下記のリンクからご覧いただけます。
令和7年度 パートタイマーに関する実態調査|中小企業労働条件等実態調査|東京都産業労働局
前回ご紹介した記事もご確認いただき、改正にあわせて、賃金や休暇などをどのように見直すべきなのか等、ご不安やご相談があれば、ぜひ一度当事務所にお問い合わせください。
リムコンサルティングスタッフ

大阪府和泉市を拠点として、堺市や大阪市を中心に人事・経営のコンサルティングを行っています。
社会保険手続きなどの実務支援から、組織づくり、賃金制度・人事制度設計などのコンサルティングまで、幅広く企業の経営をサポートしています。
代表 中小企業診断士・特定社会保険労務士 丸山 理一


