令和7年 年金制度改正法~「いつから」「どう変わる」②~

前回のブログで令和7年6月に成立した「年金制度改正法」についてご紹介しました。今回はその第二弾です。

令和7年6月に成立した「年金制度改正法」。主な改正点は以下のとおりです。

  • 社会保険の加入対象の拡大
  • 在職老齢年金制度の見直し
  • 遺族年金の見直し
  • 標準報酬月額の上限の段階的引上げ
  • iDeCoの加入可能年齢の引上げ
  • 将来の基礎年金の給付水準の底上げ  

前回は、この改正点のうち

  • 社会保険の加入対象者の拡大 について、解説しました。

今回は

  • 在職老齢年金制度の見直し
  • 遺族年金の見直し

についてご説明します。

在職老齢年金制度の見直し

在職老齢年金制度とは

年金を受給しながら働く60歳以上の方について、一定額以上の報酬のある方は、年金の支給が調整される制度です。

出典:厚生労働省 ホームページ

上図のように、賃金と厚生年金の合計が月50万円(2024年度の場合。2025年度は51万円)を超えると、超えた分の半額が支給停止となります。

支給停止となる基準額が62万円へ

高年齢者雇用安定法の改正や、働き続けることを希望する高齢者が増えていること、また高齢者の活躍を求める世の中のニーズも高まっていることを踏まえ、

年金が支給停止となる賃金と厚生年金の合計額(支給停止調整額)が62万円まで引き上げられます

9出典:厚生労働省 ホームページ
改正は令和8(2026)年4月から

在職老齢年金の支給停止調整額が62万円に引き上げは、令和8(2026)年4月からの見通しです。

※ただし、実際の令和8年度の支給停止額は、令和7年度の賃金や物価の変動を踏まえて最終的に決定されるため、変動する場合があります。

今後の対応

事業所の皆様にとっては、高齢者の従業員の方に勤務時間を増やして働いてもらえる、などのメリットがあります。

賃金・就業形態の変更を検討する場合は、対象となる従業員の方への確認や、継続雇用給付金などの制度との整合性のチェックしながら準備を進めていきましょう。

遺族年金の見直し

遺族厚生年金の支給要件・加算額が変更

遺族年金(遺族基礎年金および遺族厚生年金)は、家計を担っていた方と死別した場合、遺族の方の所得保障を目的として給付されます。

この遺族年金のうち、遺族厚生年金については、厚生年金保険に加入していた方が亡くなった際に、その遺族が受け取ることができる年金ですが、その支給要件に男女の差が存在していました。

これは、男性が主たる家計の担い手であり、夫と死別した妻(女性)が就労して生計を立てることが困難な社会状況が前提となっていたためです。
 
今回、近年の男女間の就業率や賃金の格差が縮小しつつあることなどを踏まえ、段階的に制度上の男女差が解消されます

見直し内容

男女問わず(配偶者の死亡時点)

  • 60歳未満 → 原則5年間の有期給付(条件によっては継続給付あり)
  • 60歳以上 → 無期給付

見直し時期は以下のとおりです。
男性は令和10(2028)年4月から開始
女性は令和10(2028)年4月から20年かけて段階的に実施

厚生労働省補HPより
出典:厚生労働省 ホームページ

なお、有期給付の額は新たに加算(有期給付加算)が上乗せされ、現在の遺族厚生年金の額の約1.3倍となります。

遺族基礎年金 子どもが受け取りやすく

遺族年金のうち、遺族基礎年金でも支給要件の見直しが行われます。

遺族基礎年金は、国民年金に加入していた方などが亡くなった際に、その遺族が受け取ることができる制度です。

遺族基礎年金の受給対象者は、死亡した方に生計を維持されていた遺族のうち「子のいる配偶者」または「子」となっています。

※子…18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方。

子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間や、子に生計を同じくする父または母がいる間は、子には遺族基礎年金は支給されません。
このため、配偶者が再婚した場合(下図:事例1)や、配偶者が収入要件などで受給できなくなった場合(事例2)などは子は受給できませんでしたが、今回の見直しで、子が遺族基礎年金を受け取ることができるようになります。

出典:厚生労働省 ホームページ

こちらの見直し時期は、令和10(2028)年4月からの予定です。

今回は令和7年年金制度改正法~「いつから」「どう変わる」②~と題して

  • 在職老齢年金制度の見直し
  • 遺族年金の見直し

について、解説しました。
次回は

  • 標準報酬月額の上限の段階的引上げ
  • iDeCoの加入可能年齢の引上

について解説します。

リムコンサルティングスタッフ