令和7年 年金制度改正法~「いつから」「どう変わる」①~

  • 働き方や、生き方、家族構成の多様化
  • 現在の年金受給者、将来の受給者双方にとって老後の生活の安定、所得保障の機能を強化する

という基本的考え方のもと、令和7年6月に年金制度改正法(社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のため国民年金法の一部を改正する等の法律)が成立しました。

今回はこの改正法の成立に伴い、企業の皆様が押さえておくべき主な改正内容についてご紹介します。

主な改正点とスケジュール

今回の主な改正点は、

  • 社会保険の加入対象の拡大
  • 在職老齢年金制度の見直し
  • 遺族年金の見直し
  • 標準報酬月額の上限の段階的引上げ
  • iDeCoの加入可能年齢の引上げ
  • 将来の基礎年金の給付水準の底上げ  などです。

また、改正内容の施行日は それぞれの内容に応じて「公布から3年以内」「2026年4月1日以降」「段階的に」 と定められています。

リムコンサルティングブログ
年金制度改正全体像
出典:厚生労働省 ホームページ

第1回は、この主な改正内容のうち

  1. 社会保険の加入対象の拡大

について、詳しくみていきましょう。

社会保険の加入対象の拡大

短時間労働者・被用者保険の適用拡大

現在の短時間で働く方のうち、社会保険の加入対象となるのは下図の通りです。

リムコンサルティングブログ
社会保険に加入する短時間労働者の図
出典:厚生労働省 ホームページ

今回、こちらの要件が拡大されるのですが、改正のポイントは次の3つです。

①短時間労働者の企業規模要件(従業員51人以上等)を縮小・撤廃

→②の賃金要件の撤廃とあわせて、今後10 年かけて、段階的に企業規模が縮小・撤廃されます。

時期加入対象要件
令和9(2027)年  10月から36人以上の企業が対象
令和11(2029)年 10月から21人以上の企業が対象
令和14(2032)年 10月から11人以上の企業が対象
令和17(2035)年 10月から10人以下の企業が対象
リムコンサルティングブログ
社会保険に加入拡大図2
出典:厚生労働省 ホームページ
②短時間労働者の賃金要件(年収106万円など)を撤廃

いわゆる「年収106万円の壁」として意識されていた月額88,000円以上の要件が撤廃されます。
全国の最低賃金が1,016円以上となる(時給1,016円以上の地域で週20時間働くと年額換算で106万円になるため)状況を踏まえ、令和7(2025)年6月から3年以内にこの要件が撤廃されます

リムコンサルティングブログ
社会保険に加入拡大図3
出典:厚生労働省 ホームページ
③個人事業所の適用対象を拡大

現在、個人事業所のうち常時5人以上の従業員の方を雇用する法定17業種の事業所は、社会保険に必ず加入することとなっています。

いいかえれば、この法定17業種以外の個人事業所は、加入は必須ではありませんでしたが、これが2029年10月から、常時5人以上の従業員の方を雇用する全業種の事業所が適用対象となります。

※ただし、2029年10月時点ですでに存在している事業所は当分の間、対象外となる経過措置があります。

今後のスケジュール

まず直近では、令和7年の最低賃金の見直しに伴い、12月には全国で事実上②短時間労働者の賃金要件(年収106万円など)の撤廃という状態になります。すでに加入対象者が増えた企業様もあるかもしれません。

2027年からは段階的な①企業規模要件(従業員51人以上等)を縮小・撤廃により、加入対象者や保険料負担額の増加が見込まれます。

短時間勤務のパートタイマーの方の中には、「社会保険の扶養範囲内で働きたい」といった声もあるかもしれません。
対象者の方への勤務時間・契約形態の確認や労働条件の見直しなども早めに行っておくと安心です。
その他、給与計算ソフトの対応などのほか、企業の保険料負担額の増加額の見込みなども確認しておいてください。

★参考★
社会保険の加入拡大の対象となる短時間労働者の、就業調整を減らすための支援策について

社会保険の加入拡大の対象となる短時間労働者を支援するため、特例的・時限的に保険料負担を軽減する保険料調整の措置が実施が検討されています。

基本的に、社会保険料は労使折半(事業主と被保険者が半分ずつ負担)ですが、この措置の利用を希望すると、事業主負担割合を増やし、被保険者負担を軽減できます。

その際、事業主側で追加負担した分については、その全額が制度から支援されるというものです。

リムコンサルティングブログ
社会保険の加入拡大の支援
出典:厚生労働省 ホームページ

対象企業:従業員数50人以下の企業
対象者:企業規模要件の見直しなどにより、新たに社会保険の加入対象となる短時間労働者であって、標準報酬月額が12.6万円以下であるもの
期間:3年間

制度の利用には、事業主からの申請が必要です。対象となる場合は併せてチェックしておいてください。

今回は令和7年年金制度改正法~「いつから」「どう変わる」~と題して

  • 社会保険の加入対象者の拡大

について、解説しました。
次回は

  • 在職老齢年金制度の見直し
  • 遺族年金の見直し

について解説します。

リムコンサルティングスタッフ