令和7年 賃金引上げ等の実態に関する調査|平均賃金の改定額13,601円、賃上げ率4.4%、4年連続の上昇

令和7年 賃金引上げ等の実態に関する調査が公表

厚生労働省は10月14日、「令和7年 賃金引上げ等の実態に関する調査」 の結果を公表しました。
今春はベースアップ(ベア)のニュースが大きく報道され、最低賃金の引き上げも重なって、賃上げが大きな関心を集めました。
今回は、最新の調査結果をもとに、企業規模別の賃上げ状況や今後の見通しなどをまとめています。

賃金の改定の実施状況

◆ 賃金の改定率は4年連続で上昇

1 人平均賃金の改定後と改定前の差額である「1人平均賃金の改定額」は 13,601円(前年11,961円)、「1人平均賃金の改定率」は 4.4%(前年4.1%) となり、4年連続で上昇 しました。

調査では、「賃上げを実施・予定している」企業の割合も 91.5%(前年91.2% 前年比+0.3pt) にのぼっており、多くの企業で賃金引上げの動きが広がっていることが分かります。

賃上げ等の実態に関する調査 抜粋グラフ
出典:厚生労働省 令和7(2025)年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況

企業規模別の賃上げ状況

ここで企業規模別の「1人平均賃金の改定額」を見てみましょう。

企業規模令和7年改定額令和6年改定額
5,000人以上16,784円15,121円
1,000~4,999人15,859円12,317円
300~999人12,308円10,618円
100~299人10,264円10,228円

いずれの規模でも前年を上回る結果となりましたが、企業規模による格差は大きくなってきています。

※「1人平均賃金」とは、所定内賃金(諸手当等を含むが、時間外・休日・深夜割増や特別手当を除く)1か月分の平均額を指します。

なお、今回の調査の「賃上げ」は「賃金表の改定(ベースアップ、ベースダウン)」、「定期昇給(定昇)」、「諸手当の改定」、「賃金カット」の結果、改定前との差額(1人平均賃金)が プラスになった(なる)ものをいいます。

実質賃金は依然としてマイナス傾向

一方、厚生労働省が10月8日に公表した「毎月勤労統計調査(速報)」によると、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金は、前年同月比で1.4%減少
8か月連続でマイナスとなっています。

賃上げは進んでいるものの、物価上昇に追いついていない のが現状です。

毎月勤労統計調査 実質賃金グラフ
出典:厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和7年8月分結果速報

今後の見通し

賃上げの動きは広がっていますが、実感として「手取りが増えた」と感じるまでには、賃上げがもう少し進むか、物価が落ち着くのを待つことになりそうです。

今後も、最低賃金の大幅な引き上げや、従業員の方の採用・定着などの点からも、しばらくは賃上げの流れが続くのではないかと思います。

この機会に、

  • 賃金制度や手当の見直し
  • 評価制度との連動性の確認
  • 業務効率化や生産性向上

など、組織全体で改善に取り組むことが重要となってくるかもしれません。

今回ご紹介した調査の詳細はこちら

厚生労働省「令和7年 賃金引上げ等の実態に関する調査」
厚生労働省「毎月勤労統計調査」

リムコンサルティングスタッフ