学生アルバイトの場合、社会保険はどうなる?
顧問先さまから「学生さんをアルバイトで雇用した場合、社会保険はどうなるのか?」とご質問をいただきました。
今回は、高校生・大学生のアルバイトの方の、労働・社会保険の加入についてお伝えします。
「学生」とは、昼間の課程に通う学生の方(高校・大学・専門学校など) を指します。
通信制・夜間課程・休学中の学生は、ここでの「学生」には含みません。
労災保険
労災保険は、正社員やアルバイトなど雇用形態に関係なく、すべての労働者が被保険者となります。このため、原則として学生でも加入する必要があります。
※労災保険は、従業員の方の保険料の負担はありません。
雇用保険
学生の方は、原則として雇用保険の対象外 です。
ただし、次のいずれかの場合は、学生でも例外的に加入となります。
- 卒業見込証明書を持ち、卒業後も同じ事業所で働く予定の学生
- 休学中の学生
- 会社の承認を受けて(事業所での雇用関係が存続したまま)大学院等に在学している方
- 一定の出席日数を課程終了の要件とし ない学校に通う学生(通信制など)で、他の労働者と同様に勤務できると認められる方
詳細は、こちらの「雇用保険事務手続きの手引き」抜粋をご確認ください。(厚生労働省ホームページより)

雇用保険は、失業した場合などに必要な給付を行い、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに再就職の援助を行うことなどを目的とした制度です。
被保険者となる方は、次の2つの要件を満たす労働者の方です。
①1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること
②31日以上の雇用見込みがあること
健康保険・厚生年金保険
健康保険・厚生年金も、学生の方は、原則として対象外 です。
ただし、次の基準を満たす方は、社会保険に加入する必要があるため、学生であっても対象となります。
週の所定労働時間および月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上の方
(例:正社員が週40時間なら、週30時間以上勤務しており、月の所定労働日数が4分の3を超えている場合)
昼間の課程に通う学生の方では、短時間の勤務の場合が多いため、対象とならないことが多いかもしれません。
詳細は、こちらのQ&Aをご確認ください。(日本年金機構ホームページ)

なお、健康保険・厚生年金保険の加入条件は、「週の所定労働時間および月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上」となっていますが、従業員51人以上の「特定適用事業所」の場合は次のとおりです。
次のすべての要件を満たす場合に加入
①1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること
②31日以上の雇用見込みがあること
③学生でないこと(休学中の場合などは除く)
労働基準法での注意点
18歳未満(高校生等)の雇用では、深夜労働(22時~翌5時)は禁止なども法律で規定されています。それぞれの注意事項については、厚生労働省のホームページなどで事前にご確認ください。
詳細は、こちらの「高校生等を使用する事業主の皆さんへ」をご確認ください。(厚生労働省ホームページ)
今回はご質問のあった学生アルバイトの方の社会保険等の加入についてご紹介しました。
学生のアルバイトの方は、短期・短時間での勤務が多いかもしれませんが、夜間学生の方や、昼間学生の方でも、要件を満たす場合は社会保険等の加入が必要となります。
「学生」というだけではなく、個々の状況に応じて判断することが大切となりますので、雇用される際は、ぜひ今回の記事を参考にしていただければと思います。
リムコンサルティングスタッフ

大阪府の和泉市・堺市などを拠点に、人事・経営のコンサルティングを行っています。
社会保険手続きなどの実務支援から、組織づくり、賃金制度・人事制度設計などのコンサルティングまで、幅広く企業の経営をサポートしています。



