令和7年 年金制度改正法~「いつから」「どう変わる」③~
過去2回にわたり、令和7年6月に成立した「年金制度改正法」の社会保険の加入拡大や年金制度についてご紹介してきました。
過去2回のブログはこちら→
令和7年 年金制度改正法 「いつから」「どう変わる」①
令和7年 年金制度改正法「いつから」「どう変わる」②
令和7年6月に成立した「年金制度改正法」の主な改正点
- 社会保険の加入対象の拡大
- 在職老齢年金制度の見直し
- 遺族年金の見直し
- 標準報酬月額の上限の段階的引上げ
- iDeCoの加入可能年齢の引上げ
- 将来の基礎年金の給付水準の底上げ
最終回となる今回は、この改正点のうち
- 標準報酬月額の上限の段階的引上げ
を中心にご説明します。
厚生年金の「標準報酬月額の上限の段階的引上げ」
標準報酬月額とは?
そもそも標準報酬月額とは、毎月納める健康保険料や厚生年金保険料を決定するもととなる額です。
この額は、社会保険の対象となる方が受け取る賃金(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた額等)を、一定の幅で区分した報酬額に当てはめて決定したものです。
こうして決定された標準報酬月額に保険料率を掛けて、事業主の方と従業員の方が支払う社会保険料が計算されます。
現在この標準報酬月額は、健康保険では50段階、厚生年金保険では32段階の等級に分けられています。

厚生年金の標準報酬月額の上限が65万円から75万円へ
今回の改正では、この標準報酬月額のうち、厚生年金の標準報酬月額の上限、65万円(32等級)が75万円まで引き上げられます。
これは、全国的に賃金が上昇傾向であることを踏まえての改正です。
これにより、一定以上の賃金がある方に、賃金に応じた保険料を負担してもらうとともに、将来の年金額も現役時代の賃金に見合った額が受け取れるようになるというものです。
金額は下表のとおり段階的に引き上げられる予定です。
| 時期 | 上限額 |
|---|---|
| 令和9(2027)年 9月から | 68 万円 |
| 令和10(2028)年 9月から | 71万円 |
| 令和11(2029)年 9月から | 75万円 |
※65万円以下の方の保険料は変化しません。
この見直しに伴う保険料や将来の年金額の例は次のとおりです。

保険料の変更にあわせて、企業側の負担額も増えることが予測されるほか、給与システムの確認、退職金や福利厚生との整合性が必要となるかもしれません。
段階的な引き上げになりますので、忘れずに確認しておいてください。
その他 iDeCo加入可能年齢の引き上げなど
今後数年以内に、次のような見直しも予定されています。
私的年金制度の見直し
私的年金制度iDeCoに加入できる年齢の上限を引き上げ、企業型DCの拠出限度額の拡充、企業年金の運用の見える化。
子に係る加算等の見直し
子を持つ年金受給者の保障を強化する観点から、現在受給している者も含めて子に係る加算額を引上げ。
※ 子に係る加算のない年金については、子に係る加算を創設。

詳細はこちら→厚生労働省ホームページ 「年金制度改正法が成立しました」
最後に
3回にわたりお伝えしました「令和7年度年金制度改正法」。
実施時期が確定していないものや、段階的に実施するものが含まれており、「今動くべき」項目と「中期的」に準備すべき項目が混在しています。
就業規則や労働条件の見直し、システムの変更など、全体像をイメージしながら対応していくことになるかと思いますが「制度改正を機に自社の人事・賃金・保険・福利厚生体系を統合的に見直す」チャンスでもあります。
ぜひ前向きに捉えつつ、早めから確認・準備を進めておくようにしてください。
当事務所では、就業規則等の改正の対応や各種制度設計の支援を行っています。お困りの際はぜひお気軽にご相談ください。
リムコンサルティングスタッフ

大阪府の和泉市・堺市などを拠点に、人事・経営のコンサルティングを行っています。
社会保険手続きなどの実務支援から、組織づくり、賃金制度・人事制度設計などのコンサルティングまで、幅広く企業の経営をサポートしています。



