採用難に対応!応募が集まる就業規則のポイント①
ここ数年、多くの事業所様で「人材が不足している」、「求人を出しても応募がない」といったお声を聞きます。実際の状況はどうなのでしょうか?
求職者数と求人件数
厚生労働省では一般職業紹介状況として、毎月、有効求人倍率を発表しています。令和7年9月の有効求人倍率は1.20倍でした。
有効求人倍率は「求職者数に対する求人数の割合」で、一時は新型コロナウイルス感染症の影響で減少しましたが、コロナ禍の終息とともに上昇し、ここ数年は1.3~1.2倍程度の水準が続いています。
有効求人倍率が1.20倍ということは、求職者1人に対し、1.2件の求人がある「売り手市場」ということです。
ちなみに、リクルートワークス研究所が発表している2026年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象とした大卒求人倍率は1.66倍でした。
このように近年は「売り手市場」の状態が続いており、今後も人材確保が困難となる状況が続くと予測されています。
今回は「採用難に対応!応募が集まる就業規則のポイント」と題して
- 現在の求職者の就職観や就職先を選ぶ理由
- 求人に役立つ就業規則(会社のルールの明確化)作成のポイント
を2回にわたりご紹介します。
求職者の就職観や就職先を選ぶ理由は?
これから就職をする大学生や、転職した方を対象にした調査を見てみましょう。
最初は、就職を予定している大学生が対象の調査です。
株式会社マイナビ「マイナビ2025年卒大学生就職意識調査」
調査対象:2025年3月卒業見込みの全国大学3年生、大学院1年生
有効回答数:39,190名

学生の就職観の推移では、「楽しく働きたい」が最多となっていますが、増加幅は「個人の生活と仕事を両立させたい」が大きくなっています。
次に、就職先の企業を選択するポイントの上位3つは、
- 安定している会社(49.9%)
- 自分のやりたい仕事ができる会社(28.6%)」
- 給料の良い会社(23.6%)
となっており、1位は約50%にのぼります。
マイナビでは、他の調査結果も踏まえ、学生のワークライフバランス志向が反映されていると推測しています。
続いて、転職した方を対象にした調査です。
株式会社マイナビ「転職動向調査2025年版(2024年実績)」
調査対象:2024年に転職した20代から50代の男女
有効回答数:1,500名
こちらの転職理由と転職先企業の決定理由では
転職理由「給与が低かった(25.5%)」が最多
転職先の決定理由「給与が良い(25.9%)」が全体と男性で最多
となっています。
一方、女性では転職先の決定理由として
「希望の勤務地である(29.4%)」が最も高いほか、「休日や残業時間が適正で生活にゆとりができる」という回答も男性との差がみられ、より仕事と家庭の両立を意識していることがわかります。

また、転職先企業への応募意欲が高まる制度・人事施策は何かという質問では
- 「退職金制度がある(42.8%)」
- 「有給取得率向上施策(34.5%)」
- 「企業独自の休暇制(32.9%)」
と続きます。
以上の2つの調査から、新卒者・転職者の方とも、
- 安定して働ける(給与面や将来の見通し)
- ワークライフバランス(柔軟な働き方など)
- 福利厚生の充実(退職金制度や休暇など)
が重視されていることがうかがえます。
では、これら求職者のニーズに対応し、応募を増やすにはどうしたらいいでしょうか?
次回は、その1つの方法として、「応募・採用に繋がる就業規則作成のポイント」をご紹介したいと思います。
リムコンサルティングスタッフ

大阪府の和泉市・堺市などを拠点に、人事・経営のコンサルティングを行っています。
社会保険手続きなどの実務支援から、組織づくり、賃金制度・人事制度設計などのコンサルティングまで、幅広く企業の経営をサポートしています。


