職場における「熱中症対策」の義務化【2025年6月1日施行】

事業所における熱中症対策の早期発見を

7月に入り、ますます暑さが厳しくなってきました。
大阪でも最高気温が35℃以上になる「猛暑日」が、7月1日から15日の間に12日もあり、危険な暑さが続いています。

このような猛暑の影響から、2025年(令和7年)6月1日より改正労働安全衛生規則が施行され、職場における熱中症対策として、「体制整備」「手順作成」「関係者への周知」が事業所様に義務付けられました。

今回の法改正の趣旨は次のとおりです。

・熱中症による労働災害は、近年の気候変動の影響から増加傾向
・特に、死亡災害については、労働災害による死亡者数全体の約4%を占める
・熱中症による死亡災害の原因の多くは、初期症状の放置、対応の遅れ
熱中症による健康障害の疑いがある者の早期発見や重篤化を防ぐ

厚労省「職場における熱中対策の強化について」リーフレット 現状と対策
出典:厚生労働省 職場における熱中症対策の強化について リーフレット別ウィンドウで開く

対象となるのは、
「WBGT28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上又は1日4時間を超えて実施」が見込まれる作業です。

※WBGT値(暑さ指数)とは、「暑熱環境による熱ストレスの評価を行う暑さ指数」のことです。
WBGT値(暑さ指数)については、WBGT 指数計で測定できます。
指数計は、店舗やamazonなどのインターネットでも購入可能ですが、JIS Z8504またはJIS B7922に適合した指数計を使用することが推奨されています。

各地のWBGT値(暑さ指数)は、環境省の熱中症予防情報サイトでも確認できます。
環境省 熱中症情報サイトはこちら(環境省HP)

そして、具体的には、次のことが義務付けられています。

  • 「熱中症の自覚症状がある作業者」や「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」がその旨を報告するための体制整備及び関係作業者への周知
  • 熱中症のおそれがある労働者を把握した場合に迅速かつ的確な判断が可能となるよう、
    ①事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等
    ②作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送等熱中症による重篤化を防止するために必要な措置の実施手順(フロー①②を参考例)の作成及び関係作業者への周知

厚労省「職場における熱中対策の強化について」リーフレット 処置例フロー①
厚労省「職場における熱中対策の強化について」リーフレット 処置例フロー②
出典:厚生労働省 職場における熱中症対策の強化について リーフレット

今回の法改正は、「熱中症の早期発見」や「重篤化の防止」が目的です。

対応フローや連絡体制などを作成することももちろん重要ですが、作成するだけではなく、現場で作業を行う従業員の方へ周知することが非常に重要です。

周知の例として、「朝礼やミーティングでの周知」・「会議室や休憩所などわかりやすい場所への掲示」・「メールやイントラネットでの周知」が挙げられていますので、これらの方法により、従業員の方にきちんと周知まで行いましょう。

「職場における熱中症対策の強化について」パンフレット周知例
出典:厚生労働省 職場における熱中症対策の強化について パンフレット

対応フローなどの詳細は、厚生労働省のパンフレット「職場における熱中症対策の強化について」をご覧ください。

厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」はこちら
厚生労働省「職場における熱中症予防情報サイト」はこちら
環境省「熱中症予防情報サイト」はこちら